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イビデン (2023年2月版)
2022年3月期
資本金(連結) |
64,152百万円 |
自己資本比率 |
54.88% |
従業員数(連結) |
13,001人 |
連結事業構成 |
【連結事業】電子59(23)、セラミック23(10)、他18(8)【海外】77(2022.3) |
株式上場 |
東証プライム,名証プレミア |
株価 |
一株益(連) |
PER(連) |
一株純資産 |
PBR(連) |
一株配当 |
配当利回 |
年初来高値 |
年初来安値 |
1/31終値 |
23/3期(予) |
予想 |
(連)22/3 |
実績 |
23/3期(予) |
予想 |
|
|
5,010 |
343.8 |
14.6 |
2,611 |
1.92 |
50.0 |
1.00% |
7,070 |
3,670 |
※1株益、1株純資産、1株配当金は円単位。各表示未満は4捨5入。(連)連結決算、(予)予想の略。
※1株純利益(赤字&未発表・非表示)、1株配当金(通期配当金額、未発表・非表示)は、2023年1月31日時点の会社予想。
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展望
- 独自技術で次の100年をめざす
- 同社は、大垣市に本社を置く電子・セラミック中心の技術開発企業。1912年水力発電を祖業として、戦後は炭素製品の礎となる電気炉事業に、70年代は石油危機を機に電子分野に進出した。90年代にはPC・携帯電話の普及とともに電子部品事業が躍進、2000年代には環境に配慮したSiC(炭化ケイ素)製DPFを開発、多くの自動車メーカーに採用されている。
22年4-9月期事業別売上高構成比(調整額除く)は、電子60.9%、セラミック20.0%、その他19.1%。同期は、営業・純利益とも過去最高を更新した。電子部門のパッケージは、サーバー向け需要が順調で、マザーボード・プリント配線板は、モジュール基板が堅調であった。セラミック部門は、DPFを大型商用車向けにシフトしたが、半導体不足や中国のロックダウンの影響による受注減と、原材料価格高騰の影響を受けた。触媒担体保持・シール材(AFP)は、中国での拡販が進み、特殊炭素製品(FGM)は、半導体製造装置向けに増加した。その他の建設では、発電プラント事業の設備工事受注が堅調で、大型工事が進行、建材は、販売価格見直しにより、抗ウイルスメラミン化粧板や関連商材の売上が増加した。
電子部品のロジック半導体は、ICチップへの集積度向上が求められるが、同社のICパッケージ基板は、ICチップとの接合数が多く、基板内の回路の微細化と高多層化によって高密度化を実現した。また、厳しい特性使用が求められる回路や、ビアの位置合わせの高精度化で転送速度向上にも対応している。
昨今の自動車業界では、環境対応・低燃費化が求められる。セラミック事業のDPFは、電動化が難しい大型商用車向けを再設計し、大容量の灰分体積容積の確保、捕集で燃費向上に貢献する。AFPは、無機バインダーの活用で、自動車排気系システムの保持性・機能性向上を実現、FGMは、ICチップ生産性向上のためのウェハー大口径化に対応する。
同社は、この約10年で業容も大きく変わっている。売上規模が約1.4倍に増えるなか、スマートフォン向け製品の競争力低下により特別損失を計上、収益の構造改革を実施した。セラミック部門では、欧州の電動化の流れによって、工場の統廃合や、メキシコ・中国への新工場新設などの対策を講じ、可能性の大きい分野に資源を振り向けている。
来期より、5カ年の大規模な設備投資を計画し、次の100年をめざす同社に注目したい。
(戸谷 慈伸)
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