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今年の株式市場の行方 (2014年1月版)

謹賀新年。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。2013年の株式市場は順調な上昇波動であったが、今年も堅調な状況が継続すると予想している。強気でみている最大の要因は企業利益が高水準である事が挙げられる。1株当たり利益(EPS)は株価を株価収益率(PER)で割る事により算出される。同計算式を応用して、日経平均株価の今期予想ベースのEPS(以下は同様の計算式の数値)を算出する事が可能になる。同数値は株価を予測する際の重要な「羅針盤」の一つとして追跡する事を日課にしている。日経平均株価は07年7月に「18,261円」の高値を付けているが、同年の10月に日経平均株価のEPSは「961円」でピークを打っている。

その後、リーマンショック等の影響で企業利益は激減し、09年の4月下旬から5月中旬頃まで日経平均採用企業の総純利益がマイナスになった事から、PERの算出が不可能な状態まで企業業績は悪化しており、日経平均株価はこの異常事態を先取りする形で、同年の3月に7,054円まで急落している。当時は多くの専門家より、先行きに対して極端な悲観論が述べられていたが、多様な「羅針盤」の視点を保有し、「なぜ下げているのか」、その理由を把握していれば相場に脅えて疑心暗鬼に陥ることはないと思われる。

直近の日経平均株価のEPSは「980円前後」で推移しており、既に07年10月の利益水準を上回っている状況だ。14年の高値目標を18,000円以上とする予想が多数みられるが、07年の高値が18,261円である事から、その目標値が強気過ぎるとはいえないのであろう。また、13年10~12月期の決算が発表になる今年の1月下旬から2月中旬にかけて日経平均のEPSは増額修正になる可能性が高く、同数値が来期の予想ベースになる4月下旬から5月中旬にかけては一段と同EPSは上昇する事が見込まれており、14年の日本の株式市場のメーンシナリオでは高水準の企業収益が株価を押し上げる相場展開が予想される。

リスク要因としては、米国の株価が過去のデータからみれば高水準の位置にある事が挙げられる。大局的な相場の流れを予測する際、名目GDPに対する時価総額(株価に総発行株数をかけたもの)の比率も「羅針盤」の一つとして重要視している。ニューヨーク証券取引所とナスダックの上場企業の時価総額(年末ベース、国際取引所連合調べ)の米国の名目GDP(対応する年次、FRB調べ)に対する比率は、1991年~2012年の平均値で「108%」になっている。

同数値のピークは99年末の「172%」になり、その後はITバブルの崩壊で特にナスダック市場が暴落している。08年9月のリーマンショック前では07年10月末の「143%」がピークになっており、09年3月末の「70%」でボトムを付けている。ちなみに日本のバブル崩壊前の89年末の同数値は「153%」であった。13年11月末の米国株式市場の時価総額は23兆4086億ドルである。同年7~9月期のGDPの16兆8908億ドルに対して「139%」の水準になっており、リーマンショック前のピーク時に接近している事は留意すべき材料であろう。

しかし、08年頃と大きく相違している事がある。当コーナーで何度もふれている事だが、米国の経常赤字問題は1980年代後半から懸念されていた事だ。米国のGDPに対する経常赤字の比率は06年の5.76%が、08年に4.63%、09年には2.65%まで急減し、12年も2.71%と収縮する傾向が続いている。

さらにシェールガス(オイル)の膨大な埋蔵量により、米国の製造業の復権が一段と進展する可能性が高く、30年頃には米国は経常黒字になるとの予想もあるほどだ。詳細は割愛するが、リーマンショックとは、世界経済の一大波乱要因であった米国の経常赤字問題に対する警告であったとの独自の解釈をしている。米国経済は新たな発展の歴史を歩みだしており、行き過ぎた株価のスピード調整はあっても上昇波動は継続するとみている。以上の視点から、米国市場と連動性の高い日本の株式市場も堅調な相場が続くと予想したい。

(北川 彰男)

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